重ねる涙の先で仕合せは紡ぐ。
着いた先は、巡の自宅。
わたしは玄関に入ると、「ちょっと待ってろ。タオル持って来るから。」と巡に言われ、ずぶ濡れ状態で大人しく待っていた。
すると、洗面所から顔を出した巡がこちらに向けて、バスタオルを投げてくる。
わたしはそれを不器用にキャッチすると、タオルを頭から被り、髪の毛を拭いた。
タオルからは、柔軟剤の良い香りがする。
節約の為に柔軟剤を使わないわたしには、とても新鮮な香りだった。
「髪拭き終わったら教えろよ。服貸してやるから。」
そう言いながら、洗面所から出てきた巡は上半身裸で思わずドキッとしてしまった。
「ちょっとぉ!女子が居るのに、裸でうろつくのやめてよ!」
わたしがそう言うと、巡は「別に下は履いてるんだからいいだろ。」と言いながらタオルでワシワシと髪の毛を拭いていた。
そして、白いTシャツを着ると、「洗面所の洗濯機の上に服置いてあるから、着替えろよ。」と言い、パソコンデスク前の椅子に脱力するように座っていた。
わたしは、「じゃあ、服お借りします。」と言うと、靴を脱いでからビシャビシャの靴下を脱いで部屋に上がり、早足で洗面所に向かった。
洗面所にはカーテンがついていて、カーテンを閉めてからわたしは自分の服を脱ぐと、巡が洗濯機の上に置いておいてくれた黒いパーカーを着た。
それは巡が普段着ているのを見たことがあるパーカーで、わたしにはあまりにも大き過ぎてワンピース状態になってしまった。
わたしは洗面所から出ると、「ねぇ、巡。見て〜。わたしが着るとワンピースになる。」と巡に見せに行った。
すると、椅子ごとクルッと回って振り向いた巡は、わたしの姿を見るとクスッと笑い、「本当だ。可愛いじゃん。」と言ったのだった。