重ねる涙の先で仕合せは紡ぐ。
山内くんはいつものように買取カウンター前まで来ると、リュックをおろし、リュックの中からカードゲームが入っているボックスを取り出す。
対応するのは、いつも通り津島さんだ。
今日の買取金額は、28万円。
スタッフの中では、「そんな金額いかなくて良かったね。」と話していたが、わたしはそんな話はどうでも良かった。
前回、山内くんが閉店1時間前に来店した時の帰りに後を付けられた為、今日の帰りが怖くて仕方なかった。
そして、お店は閉店し閉店業務が行われる。
わたしはその間、また山内くんがついて来たらどうしよう、、、と、そのことばかり考えていた。
閉店業務が終わると、早く帰りたい他のスタッフたちはさっさと裏口から外へ出て行く。
わたしもみんなに続き外に出ると、辺りを見回した。
「お疲れ様でした。」
スタッフ同士で言い合うと、わたしは急いで家路についた。
途中途中で後ろを気にしながら足早に歩いていたが、今日は後ろに気配は感じなかった。
今日は大丈夫かな。
そう思い、ホッとした時だった。
緑丘公園に差し掛かった時、わたしの目の前にゆっくりと立ちはだかるように現れた人物が居た。
わたしはその人を見た瞬間、息が詰まりそうになった。
「雨宮さん、ですよね?」
そう言い、わたしの前に現れたのは、山内くんだった。