重ねる涙の先で仕合せは紡ぐ。

わたしは恐怖のあまり声が出なかった。

山内くんはゆっくりとわたしに近付いて来ると、「僕のこと、分かりますよね?」と言ってきた。

「な、何の用ですか?」

わたしが恐る恐るそう訊くと、山内くんは不敵な笑みを浮かべ、「雨宮さん、可愛いなって、ずっと思ってて。僕と付き合いませんか?僕がそれなりにお金持ってるのは知ってますよね?」と言うと、わたしの目の前まで来て足を止めた。

わたしが一歩下がると、山内くんはわたしの腕を掴んだ。

「逃げないでくださいよ。」
「触らないでください、、、!」

わたしは腕を掴む山内くんの手を払おうとしたが、なかなか離してくれない。

あ、そうだ、巡に連絡!

そう思い、空いている方の手でスマホを取り出し、巡にLINE電話をしようとボタンを押したが、山内くんにスマホを奪われ、通話を切られてしまった。

「こないだの男に電話しようとしたの?」

そう言い、目つきが変わる山内くん。

怖い、、、どうしよう、、、

こんな夜に出歩くような広い道ではない為、通りがかる人は居ない。

「ねぇ、これから俺んち行こうよ。」

そう言う山内くんの手に力がこもるのを感じた。

「嫌です!離してください!」

わたしが抵抗しても山内くんは腕を離そうとはしてくれない。

すると、山内くんの背後に大きな影が見え、山内くんの腕を掴み、「俺の女に手出すんじゃねぇ。」と言う低い声が聞こえた。

< 24 / 50 >

この作品をシェア

pagetop