重ねる涙の先で仕合せは紡ぐ。
わたしは恐怖のあまり声が出なかった。
山内くんはゆっくりとわたしに近付いて来ると、「僕のこと、分かりますよね?」と言ってきた。
「な、何の用ですか?」
わたしが恐る恐るそう訊くと、山内くんは不敵な笑みを浮かべ、「雨宮さん、可愛いなって、ずっと思ってて。僕と付き合いませんか?僕がそれなりにお金持ってるのは知ってますよね?」と言うと、わたしの目の前まで来て足を止めた。
わたしが一歩下がると、山内くんはわたしの腕を掴んだ。
「逃げないでくださいよ。」
「触らないでください、、、!」
わたしは腕を掴む山内くんの手を払おうとしたが、なかなか離してくれない。
あ、そうだ、巡に連絡!
そう思い、空いている方の手でスマホを取り出し、巡にLINE電話をしようとボタンを押したが、山内くんにスマホを奪われ、通話を切られてしまった。
「こないだの男に電話しようとしたの?」
そう言い、目つきが変わる山内くん。
怖い、、、どうしよう、、、
こんな夜に出歩くような広い道ではない為、通りがかる人は居ない。
「ねぇ、これから俺んち行こうよ。」
そう言う山内くんの手に力がこもるのを感じた。
「嫌です!離してください!」
わたしが抵抗しても山内くんは腕を離そうとはしてくれない。
すると、山内くんの背後に大きな影が見え、山内くんの腕を掴み、「俺の女に手出すんじゃねぇ。」と言う低い声が聞こえた。