重ねる涙の先で仕合せは紡ぐ。

その声に驚き、焦って後退りする山内くん。
そして不意にわたしのスマホを地面に落とした。

山内くんの背後に見えた大きな影は、巡だった。

巡は、山内くんが落としたわたしのスマホを拾うと、わたしに差し出した。

「、、、ありがとう。」

わたしも巡の登場に驚きながら、スマホを受け取る。

山内くんは巡の背の高さと迫力に怯えているように見えた。

「次、こんなことしたら、、、分かってるよなぁ?」

低い声で山内くんを脅すように巡は言った。

山内くんは恐怖と悔しさが混ざったような複雑な表情を浮かべると、走って去って行った。

逃げるように走って行く山内くんの背中を見送ると、巡は「大丈夫だったか?」と言った。

「うん、ありがとう、、、。怖かったぁ、、、でも、よく分かったね。」

わたしがそう言うと、巡は「花恋から着信があったと思ったら、すぐに切れたから変だなと思って。」と言った。

「でもさ、さっきのは?俺の女、とか言ってたよね?」
「もう俺の女みたいなもんだろ。」
「そうなの?」
「花恋はどうなんだよ。俺の女って言われて、どう思った?」

巡にそう言われ、わたしは少し黙ると、「、、、嬉しかった、です。」と答えた。

「じゃあ、俺の女でいいだろ。お前、ほっとけねーんだよ。ほら、帰るぞ。」

そう言うと、巡は歩き出す。

「帰るって、どこに?」

わたしがそう訊くと、巡は当然のように「俺んちに決まってんだろ。」と言い、パーカーのポケットに手を突っ込んで、わたしの斜め前を歩いたのだった。

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