重ねる涙の先で仕合せは紡ぐ。

巡の家に着くと、わたしはシャワーを浴びさせてもらった。
そして、また巡の大きなパーカーを借りて着る。

「お前、腹減ってない?」

巡がスマホをいじりながら言った。

「お腹空いた。」

わたしがそう言うと、巡は自分のスマホをわたしに差し出し、「好きなの頼め。」と言う。

受け取った巡のスマホには、たくさんの飲食店が載っていた。

「え、これってもしかして、ウーバー◯ーツ?」
「あぁ、そうだけど。」
「これがウーバー◯ーツなんだ!わたし、頼んでみたかったんだぁ!」

あまりにもたくさんのお店が出てくるので、目移りしそうになったが、わたしはある1軒のお店に決めた。

「これ!」

そう言って、巡にスマホの画面を見せる。

すると、巡は「え?吉◯家?お前、牛丼でいいの?」と言った。

「吉◯家の牛丼食べてみたかったの!ダメ?」
「いや、いいけど。花恋って、金のかからない彼女だな。」

巡にそう言われ、聞き慣れない"彼女"という言葉に一瞬、何のことかと思ったが、そういえば、わたしは"俺の女"になったんだったと思い出した。

わたしは、巡の彼女なんだ。

まだ全く実感が湧かず、普段通りで過ごしていたわたしだったが、"巡の彼女"だと思うと、わたしは1人じゃないんだと思え、心が温かくなるのを感じた。

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