重ねる涙の先で仕合せは紡ぐ。
それからわたしは、仕事がある日はいつも通り出勤前に緑丘公園に立ち寄り、少しぼんやりしてから出勤して、仕事が終わると緑丘公園の前まで迎えに来てくれる巡と一緒に巡の自宅に帰り、一緒に夜ご飯を食べるというルーティンに変わった。
巡の家に通ってるうちに、巡の自宅にはわたしの物が徐々に増えていき、半同棲のような生活になっていった。
そして、あれから山内くんはわたしが働く職場に来店しなくなった。
スタッフ内では、「最近、山内くん来ないね。」と話が出ていた。
山内くんにとって、巡がそれほど恐怖に感じたんだろうなぁと、あの時のことを思い返してみると、確かに巡はかなり怖かった。
でも、あの出来事がなければ、わたしは巡の"俺の女"になっていなかったかもしれない。
そう思うと、ある意味では山内くんに感謝なのかな、と思うのだった。
ある日の仕事帰り。
緑丘公園に差し掛かると、いつものように巡がわたしを待っていてくれた。
「お疲れ。」
そう言ってくれる巡に駆け寄るわたし。
「帰るか。今日は何食べる?」
「んー、、、ピザ!」
「またピザ?」
「だって、ピザ美味しいじゃん?」
「お前、本当ピザ好きだな。」
「最初に食べた、あの感動が忘れられないんだよねぇ〜!」
そんな会話をしながら、わたしたちは巡の自宅に向けて歩く。
すると、巡が不意にわたしの手をそっと握りしめてきた。
わたしは驚き、巡を見上げる。
巡は、何食わぬ顔で歩き続けていて、わたしの手を握りしめたままパーカーのポケットに手を突っ込んだ。
この時、初めて巡と手を繋ぎ、その大きな手は温かかった。