重ねる涙の先で仕合せは紡ぐ。

そして、ある日の仕事帰りのことだった。

わたしはいつも通り家路を歩いて行った。

しかし、いつも緑丘公園の前で待っていてくれる巡の姿がなかった。

「あれ?」

辺りを見回してみても巡の姿はない。
少し待ってみても巡は現れない。

わたしは巡の自宅に向かうことにした。

1人で巡の自宅に向かって歩いて行くと、巡の自宅前に黒いワゴン車が停まっており、その陰に巡の姿を見つけた。

どうやら、誰かと話をしているらしい。

すると、ワゴン車の陰で見えなかったが、突然ワゴン車の陰から女性が現れ、巡に抱きついたのだ。

わたしはその光景にハッと息が止まりそうになった。

知らない女に抱きつかれている巡の姿なんて見たくない。

わたしは今歩いて来た方向に引き返し、緑丘公園に向かった。

そして、山の上のベンチに座り、さっきの光景を思い出しては涙を流した。

あの女は誰?
巡、浮気してたの?

悪い方にしか考えられず、わたしは涙を流し続けた。

すると、「花恋。」とわたしを呼ぶ愛しい声が聞こえてきた。

しかし、わたしはその声に振り向きはせず、俯いたままでいた。

< 36 / 50 >

この作品をシェア

pagetop