重ねる涙の先で仕合せは紡ぐ。

そのあと、巡に手を引かれ、巡の自宅まで歩いた。

わたしの落ちてしまった気持ちはなかなか晴れず、黙ったまま巡に手を引かれる。

すると、巡が「花恋って、YouT◯be見たりする?」と訊いてきた。

「、、、たまに見るくらい。」
「じゃあ、知らないかなぁ。最近出てきた歌い手で"ichi"って聞いたことない?」
「あぁ、ichiなら知ってるよ。あの顔隠して歌ってる人でしょ?」
「そう。その人の歌の音源作ってるの、俺。」
「えぇー?!」

わたしはあまりの驚きに大きな声を出してしまう。

巡は、「夜なんだから、あまり大きな声出すなよ。」と言ってきた。

「だって、、、え?!嘘でしょ?!」
「嘘じゃねーって。まぁ、全部ではないけど、最近出してる歌は全部俺が作ったやつ。」
「えっ、、、じゃあ、さっきの女の人って、、、もしかして、、、。」
「うん、あの人がichi。顔隠してるクセに安易に来るなよって感じだよな。」

巡が音楽関係の仕事をしてるのは分かっていたが、まさか有名な歌い手の曲を作っていたなんて、、、

でも、いくら有名な歌い手とはいえ、わたしの男に抱きつくなんて許せない。

わたしは、一気にichiのことが嫌いになった。

「さっき、ずっと頼まれてる事があるって言ってたけど、何を頼まれてるの?」

わたしがそう訊くと、巡は難しい顔をして「んー、、、まだ決まったわけじゃないけど、LIVEをやる予定があるから、ベーシストとして出てくれないかって言われてさ。」と言った。

え?LIVEに?ベーシストとして?

でもLIVEって、やるなら東京とかだよね?

巡、東京に行っちゃうの?

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