重ねる涙の先で仕合せは紡ぐ。
その日の仕事帰り、いつもの道を歩いて帰っていると、緑丘公園に差し掛かり、つい居るはずのない巡の姿を探してしまう。
いつも「お疲れ。」と待っていてくれた巡。
まだ朝に見送ったばかりなのに、もう巡に会いたい。
わたしは久しぶりに自然と溢れてくる涙を流しながら、久しぶりに自分の自宅に帰った。
久しぶりに帰宅した自分の家は、まるで住み慣れない別人の家のようで落ち着かなかった。
すると、パーカーのポケットに入っているスマホが振動し始めた。
わたしは慌てて、スマホを取り出す。
着信は、巡からだった。
「もしもし?」
「もしもし、花恋?もう仕事終わったか?」
「うん、今帰ってきたところ。」
「そっか、お疲れ。」
巡の声を聞き、気持ちが落ち着いていくのを感じた。
わたしはベッドに腰をおろすと、巡からの電話に自然と笑みが溢れた。
「巡は?今どこに居るの?」
「宿泊先のホテルだよ。今日は移動だけで、明日から打ち合わせとかリハとかで忙しくなりそう。」
「そっかぁ、、、大変そうだね。」
「まぁ、1ヵ月だけだから。受けたからには頑張るよ。」
「うん、頑張ってね。」
そのあとは、ベッドに横になりながら、わたしが眠たくなるまで他愛もない話をした。
巡の声を聞くと安心して眠くなってきてしまう。
しかし、まだ話していたい。
その葛藤の末、わたしはいつの間にか寝落ちしてしまっていたのだった。