重ねる涙の先で仕合せは紡ぐ。

すると、電話の向こうから「ねぇ、巡くん。何してんの?早く戻って来てよぉ。」とい言う、女の人の声が聞こえてきた。

わたしは瞬時に「ichiさんだ。」と思った。

電話の向こうでは、巡が「もう少ししたら戻るので、待っててください。」と言っているが、ichiさんはなかなか強引に連れ戻そうとしている感じだった。

「花恋、ごめん。ichiさんがうるさくてさ。」

巡がそう言うと、ichiさんらしき女の声が「うるさいなんて酷い〜!」と、"女"を武器にしたような言い方で聞こえてきた。

「また連絡するから、じゃあ仕事お疲れさん!ゆっくり休めよ!飯もちゃんと食うんだぞ!」
「もう巡、なんかお父さんみたい。」

そう言い、笑いながら「じゃあ、またね。」と電話を切った。

電話が終わり、一気に寂しさが込み上げてくる。

巡は今、ichiさんと一緒に居る、、、

巡はichiさんを何とも思ってなかったとしても、ichiさんは確実に巡のことを気に入っている。

巡のことは信じているけれど、不安でたまらなかった。

わたしは、1人家に帰ると、また食パンにとろけるチーズを乗せてトーストしたものを食べた。

巡と食べたピザが恋しい。

1人で食べる夜食は、何の味気もしなかった。

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