君との恋は面倒すぎる
 その夜、日和に電話を掛ける。

 薫と話せたことをいち早く日和に聞いてほしかった。

 それと、声が聞きたかったから、なんていつもならそんな理由で?と躊躇してしまいそうな理由でも、今日は電話を掛けた。

 日和は俺のそんな気持ちも知らず、ずっと話を聞いてくれている。


『そっか、ちゃんと話せて良かった』

「うん、日和のおかげ。ちゃんと話せって言ってくれたから」

『いやいや、蒼空くんが向き合ってくれたから。ありがとう』


 何故かお礼を言ってくる日和に少し笑ってしまう。

 何で日和がお礼を言うんだか。
 本当に感謝しなきゃいけないのは俺なのに。


「俺の方こそ、ありがとう」


 お礼をいうと数秒空いた後『うん』と嬉しそうな返事が聞こえてくる。

 喧嘩した時に別れられるかもなんて覚悟していた。

 別れずに済んだのは毎度こんな風に俺の話をどんな時でも聞いてくれて理解してくれて、尊重してくれるからだ。

 少しは俺からも渡せるものがあれば、と思うのに俺は君に何もあげられない。

 だから、せめて今伝えたい言葉を…。


「…薫が日和を好きだったとしても関係無いから」

『え?』

「俺の方が絶対好きだって事、分かってて。じゃあ、おやすみ」


 そう言って照れ臭さに耐えられずに電話を切ってしまう。

 慣れない事するからこんなに恥ずかしくなる。

 溜息を吐いて、スマホの画面を机に伏せて置く。

 まだ俺が素直になるまでには時間が掛かりすぎる。
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