この恋、延長可能ですか?


レンタル彼氏とのデート当日。

普段自分では選ばないようなワンピースを着て、いつもより時間をかけてメイクをした。男性との待ち合わせが会社の飲み会か弟だけなので、正直正解が分からない。

とにかく、見慣れない姿が恥ずかしすぎるので職場ではマスクで隠した。終日、眼鏡が曇って大変だった。

「ねえ今日の志麻さん、ヤバくない?どうしたのあれ」
「面白すぎるんだけど」

休憩室でそんな会話を小耳に挟んだ。不審者と思われているのか。

『やっぱりやりすぎよ』
『でも変だって思われたら嫌じゃん』

脳内で天使と悪魔が喧嘩をする。まあ、バレてないのでOKということにしよう。

普段から残業をこなしているので、定時で上がれた。待ち合わせ場所にも予定通り10分前に到着。(一応コンタクトにして、マスクも外しました)

待ち合わせスポットなのか、噴水広場は私のような女性や、男性が見受けられた。あの人たちも今からデートなのかしら?と、不思議な同調性に襲われる。

「(はあ、緊張する……!)」

いよいよ始まるのだと思うと勝手に指先は震えるし、足はフワフワして落ち着かない。

上手く話せるだろうか。顔は赤くならないだろうか。私みたいなのがいてガッカリされないだろうか。


「……日和ちゃん?」


心も頭も緊張感が支配していれば、落ち着いたテノールが耳に触れた。心臓が一際大きな音を鳴らすのは必然だった。
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