Dearest 1st 〜Dream〜
正直な話、チカを幸せにしてくれる奴なら、俺はそれでいいと思った。
俺じゃチカを幸せにする自信はない。
……というか、幸せには出来ないだろう。
『付き合ってみなきゃ分からない。
絶対あたしの事を好きにさせて見せるから』
──…そう言われて一緒にいてもう何年が経った?
付き合ってみて相性が合うとか、
どんどん好きになっていったとか、
そういう発見を経て、
この方法が成功する場合もあるんだろう。
……だけど俺は違った。
“好きにさせてみせる”
そう断言されるたび、
一緒にいれば居る程、
チカを知れば知る程、
俺はチカの事を好きになれない気がしてならなかった。
それは最初から二人の歩幅がズレていたからかもしれないし、
それ以前に俺の考え方が子供だったからかもしれない。
だから、チカが笑顔でいられるなら別の道を歩いて行って欲しい。
──俺はそう思って、しばらく時間が経ってからチカに電話を掛けた。