Dearest 1st 〜Dream〜
「純に落とせない子なんてあたしとその子くらいじゃない?」
「たいていの女の子は純にイチコロだもんな。」
「だーかーらー!
落とそうと思ってるつもりは一切ないっていつも言ってるやんか。」
マリアと吾郎が楽しそうにからかってくるのを、俺は指で弾くように否定した。
「純の魅力に気付かないなんてアヤヤももったいないなぁー。
俺が女なら~♪
絶対純と付き合いたいもん!!!!」
「……俺は死んでもイヤ。」
「えぇっ!?
何で何でぇ!?」
「…それよりさ、彩ちゃんが好きなぶんちゃんって何者?」
壱の狂言を完全に無視した吾郎がぶんについて尋ねてきた。
「んー……。
彩の先輩で今高2。
んでもって今の和太鼓の部長。
……しかも彼女持ち。」
「えぇぇぇえっ?!?!」
最後の言葉に三人は驚きの声をバッチリ揃えた。
「彼女いんの?!
いんのにアヤヤはそいつの事好きなの?!」
「……ザッツライト。」
「もちろん、その子は彼女いるっての承知の上好きなのよね?」
「……イエス。」
「……彩ちゃんは純の気持ち知らないの?」
「………多分」
最後の吾郎の質問には合っているか自信はなかった。
多分彩は俺の気持ちを知らない。
気づいてはいないと思う。
でも気づいていない方が良い。
ただでさえ、ぶんの事で頭を抱えている彩。
それにプラスして、
俺の気持ちが負担になるような事はしたくなかったから。
重荷には
邪魔な存在には
絶対なりたくなかった。