Dearest 1st 〜Dream〜
───ザァァッ…。
帰宅してから、俺はオールで疲れた体に熱いシャワーを浴びせていた。
あれだけはしゃげば、
ふらふらで疲れ切ってしまうだろうなと言う予想はどこへやら。
案外、頭はクリアだし、目もしっかり開いているもんだ。
浴室から出て髪から落ちる雫を拭い──…
俺は無意識にカバンから、彩の描いた絵を取り出していた。
「…………」
グラスに入った水を飲み干しながら、その描かれた深海を見つめる。
……海……か……。
「───…よし…」
そう呟いて、俺はペンを片手に楽譜を埋めていった。
……何となく。
何となくやけど、“今”を音楽で表しておこうという意欲に駆り立てられたから。
俺の頭にはもう何となく情景が出来上がっていた。
海にリンクするように、
あるがままの旋律を描いていく。
──いつからか、俺の気持ちを吐き出す場所は音楽だった。
創作すれば、
少しでも楽になれる。
慰められる、
そんな気もして。
「……これでえぇか……」
出来上がった曲は、俺の気持ちをそのままぶつけたような──…
そんな、悲しくも切ないバラードだった。