Dearest 1st 〜Dream〜
壱はそんな俺の様子を見て、自分の事のように深く重い溜め息を付いた。
「純もホンッットお人好しだよなぁ!!
俺なら考えもつかないよ。
ライバルの背中さえも押すなんてさ……」
「…あたしも出来ないな。
またすごい作戦考えたもんよねぇ……」
マリアの言葉に深く同意を示したのは吾郎だ。
「策略家だよなぁ…。
結局、彩ちゃんとぶんちゃんは純の影の力によって動き始めるんだから。」
「んでもってー!
アヤヤとぶんちゃんはそんな純のありがたーいお導きに全く気付かないまま!」
───カタン!
締めに、壱が空になったジョッキを机に置く。
「んっっもー!純のバカ!
何でそんなとこで仏みたいな悟り開いちゃうのさぁ?!?!」
「……しゃあないやろ。
彩はあいつが好きってのが現実やねんし。
……別に
俺が火付け役になろうが
悪役になろうが
“キッカケ”になれたんやったら、もうそれはそれでいいんちゃうかなぁってさ……」
「──……純……」
俺は頬杖を付きながら、
ただ茫然と空になったジョッキを見つめていた。