Dearest 1st 〜Dream〜
……ライブから数日後。
────ザァァァッ!
……その日は、
本当にすごい雨だった。
それこそバケツをひっくり返したような
横殴りの強い激しい雨。
「うっわ……
ほんまにすごい雨やな…」
俺がコンビニで買い物を済ませて外に出たときには、更に雨足は強くなる一方で。
…でも帰るしかないよなぁ……。
いつもなら家から少しで行けるコンビニでさえ、道のりが長く感じる始末。
傘も役に立たないし、視界は最悪。
テレビでは台風が上陸するっぽい事言ってたし。
風が唸りを出しているし、何だか身の危険を感じる。
……早いとこ帰ろう。
俺は覚悟を決めて、コンビニから家に向かって走り始めた。
────バシャバシャ!
跳ねる水溜まりを気にせず走っていると──…
「───……ん……?」
この凄まじい雨と強風の中、傘も何も差さずに立ち尽くしている女がいた。
………どうしたんやろ?
明らかに様子がおかしい女に、俺は恐る恐る近付いた。
──────!!
衝撃が雷のように全身を貫いた。
だってそれは──…
「───…チカ……?」
それは……
紛れもなく、
この雨の中、ずぶ濡れで涙を流すチカの姿だった。