Dearest 1st 〜Dream〜






──しばらくして。





墓参りを終え、車のドアを閉めた瞬間……。






────♪♪…♪♪…






「あ、あたしだ。」





チカのケータイが着信を知らせる。






「はい、もしもし。」





電話を取るチカをあまり気にせず運転していると──…





「え?そうなの?

じゃあ今から行くね♪




──純もいるし♪」






─────え?






俺は運転中にも関わらず、驚いてチカを見つめた。





「そーんな慌てた顔しなくていいじゃないの♪」




「いやだって…

行くってどこに?」





チカはパチンとケータイを閉めるとニッコリ笑い、





「───高校♪



チヒロちゃんが部活来て下さいって♪




───純も一緒に♪」







───……え……







「せっかくこっち帰って来たんだし、あたし久しぶりに部活行きたい♪



ねっ、いいでしょ?」






「…………」





そうせがむチカに言葉が出なかった。





「純どーしたの?

行きたくないの?」





「いや、違うけど…」





「じゃあ早く行こう♪」





……………。






俺は拒否する理由を考えるのが面倒で、





そのまま、何も考えずに車を走らせた。



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