Dearest 1st 〜Dream〜
「────…ゃ……
……あや────…っ」
一人取り残された部屋の中、俺はうわごとのように彩の名前を呼んでいた。
頭の中に、最悪な事態が簡単に描きあがっていく。
もし、彩が俺と同じ目に遭ったとしたら?
もし刺されたら……
……いや、それ以上だったら──…
─────ギュッ……
彩が危険だと思えば思う程。
それが、不思議と俺に力を与えた。
もう一度、立ち上がる力。
彩を、危険から守る力。
─────そう。
守る。
守るんだ。
─────ビリッ!
近くにあるシャツを引きちぎり、俺は刺された肩に縛り付けて止血をした。
…………大丈夫。
大丈夫だ、これくらい。
どうってことない。
「………公……園……」
……フラフラ……
満足にも“歩けてる”とは言えないが……
痛む肩を押さえながら、
俺はふらつく足取りで公園へと歩き出した。