Dearest 1st 〜Dream〜




「……なに…言って……」





「……言って…?

そしたら…

俺…諦めつくから…」






君が言ってくれないと、

俺は終われない。






「……無理…無理だよ…」





首を振る彩が、心底愛しかった。






だからこそ──……







「言って…

お願いやから…」






「……や…やだ…」





「──言え!!」






声を上げて、叫んだ。





苦しい。




切ない。




歯がゆい。




もどかしい。






終わらせてくれよ…





君の口から。





真っ直ぐに見つめて、視線でそう訴える。






すると───…








「……ら…い……」






彩が震える声でそう言った。






「聞こえへん。」






嫌いだと言うのは







「きらい……




朝岡さんなんか……






大っ嫌い!!!」







──…好きだという証拠。








「──…ありがと…」







………嬉しかった。






“嫌い”と言われて泣きそうなくらい嬉しいなんてバカみたいだ。





今までの思い出が、

走馬灯のよう、次々と回想されていく。








初めて出逢った事、






“朝岡さん♪”






初めてメールした事、






“朝岡さんも名前通り素敵な人なんだろうな♪”







初めて電話した事、






“いつか……



彩もまた前向こうって思えるのかなぁ…?”







初めて絵を貰った事、







“あげるっ♪”






初めて見守ると決めた事、







“朝岡さん、スーパーマンみたい”







はじめて、





…はじ……めて──…っ







……あぁ──…





どれも経験した事がないものばっかりだ。






ダイヤモンドダストのように、全部がキラキラ煌めく思い出ばかりなんだ。






今気付いたよ。







───君は、俺の全てだった。






全てが、君中心に動いていた。







「─────…ッ」







彩を好きになってから、

初めて一筋の涙が零れ落ちた。


< 279 / 402 >

この作品をシェア

pagetop