Dearest 1st 〜Dream〜
「……なに…言って……」
「……言って…?
そしたら…
俺…諦めつくから…」
君が言ってくれないと、
俺は終われない。
「……無理…無理だよ…」
首を振る彩が、心底愛しかった。
だからこそ──……
「言って…
お願いやから…」
「……や…やだ…」
「──言え!!」
声を上げて、叫んだ。
苦しい。
切ない。
歯がゆい。
もどかしい。
終わらせてくれよ…
君の口から。
真っ直ぐに見つめて、視線でそう訴える。
すると───…
「……ら…い……」
彩が震える声でそう言った。
「聞こえへん。」
嫌いだと言うのは
「きらい……
朝岡さんなんか……
大っ嫌い!!!」
──…好きだという証拠。
「──…ありがと…」
………嬉しかった。
“嫌い”と言われて泣きそうなくらい嬉しいなんてバカみたいだ。
今までの思い出が、
走馬灯のよう、次々と回想されていく。
初めて出逢った事、
“朝岡さん♪”
初めてメールした事、
“朝岡さんも名前通り素敵な人なんだろうな♪”
初めて電話した事、
“いつか……
彩もまた前向こうって思えるのかなぁ…?”
初めて絵を貰った事、
“あげるっ♪”
初めて見守ると決めた事、
“朝岡さん、スーパーマンみたい”
はじめて、
…はじ……めて──…っ
……あぁ──…
どれも経験した事がないものばっかりだ。
ダイヤモンドダストのように、全部がキラキラ煌めく思い出ばかりなんだ。
今気付いたよ。
───君は、俺の全てだった。
全てが、君中心に動いていた。
「─────…ッ」
彩を好きになってから、
初めて一筋の涙が零れ落ちた。