Dearest 1st 〜Dream〜
「うーん…
まだ彩ちゃんが来てないんですけどね……」
チヒロが困ったように笑った。
───…やっぱり来てないんや…。
「あの子は無断で休むような子じゃないよ」
ぶんがキッパリと言い放つ。
「連絡は着いたん?」
「いやそれが……
電話繋がらなくて…」
……繋がらない?
急に心配になった俺は発信ボタンを押した。
────プツッ
『お客様がお掛けになった番号は──…』
「…………ほんまや…」
心配になって何回も掛け直してみるけれど…
『お客様がお掛けになった番号は──』
耳から聞こえるのは同じガイダンスばかり。
電波がない所にでもいるんやろうか?
「……あかんな。
やっぱ繋がれへん…」
「まぁ遅刻かもしれないし…
先に練習しときますか♪」
「…………」
チヒロが明るくそう言い、俺以外はみんな頷いて──…
彩抜きの、練習が始まった。