副社長の甘い罠 〜これって本当に「偽装婚約」なのでしょうか?〜
写っているのは、水嶋専務が鼻の下を伸ばして、露出の高い服を着た女性と密着しながらお酒を飲んでいる写真だ。
「まぁ……!」
女性役員の橋本取締役が、目を丸くしている。
「七瀬副社長、この写真は?」
「はい、こちらは名古屋にいる水嶋専務の愛人・佳奈子さんでして、水嶋専務は佳奈子さんとの食事を接待費としてこれまで計上しています」
「なんだって!? 水嶋専務、それは本当なんですか?」
今まで黙っていた長谷川取締役も、驚いて声を上げる。
「こ、こんなもの! 何の証拠になるんだ!!」
この期に及んで、往生際が悪い。まだ認める気が無いらしい。
「佳奈子さんともお話ししたので、その録音をここで再生しましょうか?」
「なんだと!?」
肩をわなわなと震わせて、怒り心頭の様子だ。でも、まだ晒していない悪事はある。
「まだ、水嶋専務は隠していることがありますね」
「何のことだ」
「ブルー・アイランド社の件、隠していないとは言わせませんよ?」
「………!!!」
怒り過ぎて、言葉も出なくなってしまったらしい。参加している役員陣は、何のことだ?とざわついている。
「七瀬副社長、ブルー・アイランド社の件とは?」
「3年ほど前から契約している業務委託先なのですが、年一回の支払いでこれまで3回支払いが完了しています。ですが、一度も何かを納品をしたことがないことが判明しました」
「なんだって?!」
役員陣は事態の大きさを察したのか、皆、動揺を隠せない。