ドブみたいな色の
「うん、いいよ」


私は頷いてしまった。

だって、断った時の罪悪感がすごそうだったんだもん!
蓮人くんがショックを受けた顔なんて見たくないし!


「やったぁ」


へにゃんと笑う蓮人くん。

可愛いなぁ、もう!


「蓮人くんって、部活に入ってないよね?」

「入ってないよ」

「なんでこの時間まで残ってたの?」

「家の鍵を失くして」

「えっ!?」


蓮人くんの顔を見上げる。
蓮人くんは私から顔を逸らしていた。


「すっごい探したんだけど……そのっ……」


もしかして、まだ見つかっていないのかな?
親が帰ってくるくらいの時間まで、教室で時間を潰していた、とかかな?


「……制服の胸ポケットに入れてたの、忘れてただけで……」


あ、耳が赤い。
恥ずかしいんだ。


「……失くしてなくてよかったね」


なんて声をかけるのが正解かわからなかったので、とりあえず当たり障りのないことを言っておいた。


「……うん」


やっと前を見る蓮人くん。


「先生が一緒に探してくれてたんだけど、申し訳なくて」

「先生、何か言ってたの?」

「呆れて笑ってたよ。灯台下暗しだね~って」


怒られなくてよかったね。
< 4 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop