The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
…私は、昔…『青薔薇解放戦線』のメンバーだった。

家族ともどもルアリスに拾われ、彼の革命に協力していた。

元々、祖国から脱出してルティス帝国に忍び込んだのも、革命活動の一環だった。

私と私の家族がルティス帝国に入って、外側から革命軍の支援をする予定だった。

でも、脱国の途中で…家族が死んで。

私だけが生き延びて…ルティス帝国に入って。

そこで私は、身を売る生活をしながら…祖国の『青薔薇解放戦線』とも連絡を取っていた。

彼らとの繋がりを断ったのは、ルヴィアさんと結婚すると決めたときだった。

過去を…完全に断ち切れるとでも、思ったのだろうか。

私は…なんと浅ましい人間なのだろう。

祖国の仲間を裏切り。自分だけよその国に逃げて、好きな人に守られて、幸せに暮らして。

ルヴィアさんを騙して。

祖国を裏切って。

それでも…それでも私は。

浅ましいことだと分かっていても。

手にした幸せを…手離したくなかったのだ。

あんまり幸せだから…あんまり心地良いから…それを捨ててしまうのが嫌だった。

だけど、駄目なのだ。

ミルミルの言う通り。私はルティス帝国の女じゃない。

あのおぞましい箱庭帝国の女なのだ。

そんな私が…人並みの幸せを手に入れようなんて。

おこがましいにも程がある…。

私は今すぐ、ルヴィアさんの家を出るべきだった。

ミルミルの言う通りに、革命軍に戻って、ルアリスに頭を下げて…祖国と、仲間の為に戦うべきだった。

それなのに。

どうしても…それが出来なかった。

何処までも厚かましい。愚かで卑怯な女だ。

自分で、自分の醜さに吐き気がする。

それでも私は…まだ、彼にすがっていたかった。

彼の傍に、一緒にいたかった。

「…ルヴィアさん…私…」

自分の妻がこんなに醜い女だと知ったら、あなたはきっと…私を嫌いになるんでしょうね。




…それでも私は、あなたの傍から離れたくありません。
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