The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
ヴァルタの次、四人目の犠牲者は。

「次はあなたですね、ヴィニアスさん…でしたっけ?」

「うん」

残る女の子は彼女一人。

一体彼女は何を着せられるのか…。

「そうですね~。あなたはどんな服が良いですか?」

ここでルレイア、初めて本人の意見を聞く。

ラシュナとセトナが、ずるっ!みたいな顔をしていた。

お前、さっきまでの女の子達にも聞いてあげろよ。何で今更本人の意見を聞くんだ。

しかし、これでヴィニアスだけは救われた。

きっと彼女は、このゴスロリコレクションの中でも、比較的大人しめなデザインの服を選ぶことだろう。

と…思ったのだが。

「え~…。別に何でも良いよ」

あろうことか、ヴィニアスは面倒臭そうにそう答えた。

こいつ…正気か。

折角、ルレイアゴスロリの毒牙から逃れるチャンスだというのに。

自ら、そのチャンスをフイにするなど。

「何でも良いんですか?」

「うん…。好きなの選んで良いよ」

「はい!じゃ、遠慮なく」

こ、この子は馬鹿なのか。

ルレイアに好きなのを選ばせたら…大変なことになるだろうに。

案の定。

「うーん…これが良いですね」

ルレイアが選んだのは、真っ黒なリボンがついたビスチェと、同じく真っ黒なロングスカート。

言わんこっちゃない。

あんなの着てみろ。さながら魔女みたいになるぞ。

ラシュナとセトナも、うわぁ…という目で見ていた。

あんなの着せられたら、恥ずかしくて外を歩けないだろう。

これにはさすがのヴィニアスも、「好きなの選んでとは言ったけど…」と苦言を呈するのではないか。

と、思ったが。

「じゃあそれにする」

試着すらせず、即決。

この子…頭大丈夫か。

「着てみなくて良いんですか?」

「うん、面倒臭いし…。それに、それが私に似合ってると思ったんでしょ?」

「えぇ」

「じゃ、それで良い」

…なんという潔さだ。

自分に似合ってるなら、ゴスロリでも何でも関係なしだと言うのか。

俺だったら、いくら似合ってようと、ルレイアみたいな服を着て外を歩ける勇気はない。

あと、俺はそういう服は間違いなく似合わない。ルレイアだから様になるのだ。

「それじゃ、それで女性陣は皆、円満に決まりましたね!皆さん気に入ったのがあって良かったです」

「…」

「…」

ラシュナとセトナの無言をスルーして、ルレイアはお店の店員に、「あ、ツケで」と言って、優雅に店を出ていった。

彼女達に、申し訳なくて仕方ない。
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