The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
…食事の後。

ちゃんと後片付けまで手伝ってくれる辺り、ルリシヤはルレイア達とは違うな。

しかし、男が二人で並んで皿洗いなんて、冷静に考えるとシュールな光景だよな。

大体、俺はこいつを信用していない。

何でそんな奴と、仲良く皿洗いしなきゃならないんだ。

「…」

俺が不機嫌なことに、ルリシヤは気づいているのか、いないのか。

ルリシヤは無駄にルレイアに似ているから、気づいているんだとは思うが…。

すると、案の定。

「…そんなに警戒しなくても、何もしないぞ」

「…」

洗った皿の水気を拭き取りながら、ルリシヤはぽつりとそう言った。

…黙っておこうと思っていたが、そっちがそのつもりなら…こっちも言ってやろうじゃないか。

「自分が警戒されないと思ったか?」

「思ってない。でも…もう少し信用してくれても良いと思うが」

「ふざけるな。俺はお前を許してはいない。お前は俺の敵だ」

「…」

はっきりと敵対宣言されたことに、思うところがあったらしく。

ルリシヤは、じっとこちらを見つめた。

「…ルレイア先輩を怪我させたことについては、弁明の余地もないから謝る。…あのときは他に方法がなかったとはいえ…。あんなやり方をしてしまったことは、申し訳ないと思ってる」

「…」

…だから、何だよ。

その上から目線に腹が立つ。

「…他に方法がなかった、だって?」

「あぁ」

「…」

そんなはずがない。ルリシヤほどの実力があれば…あんなやり方をしなくても、正規のルートで加入して、『青薔薇連合会』の幹部にはなれたはず。

それしかやり方がなかったということは…。こいつの目的は。

…やっぱり、信用出来ない。

「…ルレイアもアシュトーリアさんも信用してるみたいだから、口は出さないでおくが」

あの二人が信用して良いと言うのだから、ルレイアとアシュトーリアさんを信じて、俺も何も言わない。

しかし。

「俺はお前を信用してない。それだけは覚えておけ」

「…分かった」

この上、まだあれこれ言葉を弄して俺のご機嫌取りをしてくるようなら、本気で苛立っていたと思う。

でもルリシヤは、素直に頷いただけだった。

「信じて欲しいなら、言葉じゃなくて行動で示せ」

「…行動で示したら、俺を信用してくれるのか?」

「示すことが出来れば、な」

ルレイアを傷つけた以上、少々のことでは信じないけどな。

「分かった。じゃあ、俺はいつか…ルルシー先輩に信じてもらえるように頑張ろう」

「…」

…何でそんなに素直に、頑張るなんて言えるのか。

そんなに俺の信用を得たいか。何の為に?

お前が腹の中で企んでる計画の為に、必要なのか?

…やっぱり信用出来ない。

ルリシヤが腹の中で何を考えているのか、それが分からない限り…俺は絶対に、この男を信じることが出来ない。
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