The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
その後、ヴァルタは持参した書類を俺とルルシーに開示した。

そこには、『青薔薇連合会』が『青薔薇解放戦線』に協力し、革命が成功した暁に、俺達に提供する見返りが事細かに記されていた。

俺はその書類に、ルルシーと共に目を通した。

…成程ねぇ。

革命なんて大それたこと考える割には…意外に堅実だな。

革命軍に協力した結果、得られる見返りは…一見したところ、それほど悪いものではない。

相応の見返りはある。

支払期限は相当先だけど、謝礼金もそれなりのものだし…。何より革命軍が箱庭帝国の政府を打ち倒し、箱庭帝国を開国した暁には…こちらに大変有利な条件で、我々をご贔屓にしてくれるとの申し出だ。

取り引きの相手としては、悪くない。

箱庭帝国の裏社会を、実質牛耳ることが出来る。そう思えば利益は相当なものになるだろう。

長い目で見れば、この取り引きは充分に旨味がある。

…しかし。

「…弱いな」

ルルシーが言い、書類をテーブルに放った。

ルルシーの言う通り。

「えぇ、弱いですね」

「…」

この程度で俺達を動かそうなど…片腹痛い。

「…悪い取り引きではないと思うがな」

断られたのが不満であるらしく、ヴァルタは顔をしかめてそう言った。

確かに、書類の上でだけ論じるなら…悪い取り引きではない。それは事実だ。

だが所詮、これは…表社会に生きる人間の理屈だ。

「取り引き内容自体は悪くはない。もし…本当にこれが成功すれば、の話ですが」

結局のところ、リスクとリターンが一致しているかという話になる訳だ。

これではあまりにも、ハイリスクローリターン。

取り引きを受ければ、俺達は箱庭帝国そのものを敵に回すことになる。

いかに小国と言えども、仮にも一国を敵に回す、そのリスクを思えば…これだけのリターンは、むしろ当たり前だ。

確かに旨味は多い。ただし…成功するなら、の条件付きだ。
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