The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
数時間後。

アシュトーリアさんを始め、『青薔薇連合会』のそうそうたるメンバーが集結した。

アイズとの楽しいショッピングを中断されたアシュトーリアさんは、非常に不満げであった。

更に、不満そうなのがもう一人。

「何だよぅ…。アリューシャ、気持ちよく昼寝してたところだったのに~」

「済みませんでしたね、アリューシャ」

苦笑いでアリューシャを宥める。

それは申し訳ないことをした。昼寝を邪魔されれば、不機嫌にもなるよなぁ。

しかし、真面目なルルシーは。

「ふざけてる場合じゃないんだぞ、アリューシャ。臨時召集された意味を考えろ」

「えー…。何?」

「一体何があったの、ルレイア?」

アリューシャと、それからシュノさんが尋ねた。

彼らには、「大変なことになってるからすぐ集まってくれ」としか言ってないからな。

詳しい説明は、これからだ。

俺が説明すべきかな、ここは。

「つい先程ですが…。端的に言いますと、箱庭帝国の革命軍、『青薔薇解放戦線』とやらが俺とルルシーに接触してきました」

端的に概要を話すと、この場にいた俺とルルシー以外は、全員目を見開いていた。

特に、箱庭帝国、と聞いて…ルルシーのところの準幹部は、酷く驚いていた。

ま、そういう反応になるよなぁ。

「…箱庭帝国に革命軍。それは本当なの?」

と、アシュトーリアさん。

「自称、ですけどね。まぁでも嘘ではないでしょう。見たところ後ろ暗いもの抱えてる顔してましたからね」

その辺りの観察眼については、自信がある。

無駄に長く人の上に立ってきた訳じゃないからな。

「あの国内情勢じゃ、いつかは反乱が起こると思ってたけど…」

「箱庭帝国って、あれでしょ?この間アリューシャが最高に格好良く撃ち抜いたあれでしょ?確かノンシュガーの猫とかいう…」

「『シュレディンガーの猫』ね」

ノンシュガーの猫。確かに甘くはない連中だった。

上手いこと言うな。アリューシャは。

「あの国で革命?そりゃ大変だねぇ」

全くもって同感。

政府が糞だと色々大変だな。

まぁ、うちも人のこと言えないか。

「それで、どうして『青薔薇連合会』に接触してきたの?」

アリューシャの軽口を無視して、真剣そのものの眼差しでシュノさんが尋ねた。

「つまるところ、俺達に協力してくれとの申し出です」

「成程…。後ろ楯になって欲しいということね」

そういうことです。

「色々見返りは提示されましたが、それについては断りました」

「そう。分かったわ」

アシュトーリアさんは、顔色一つ変えず笑顔でそう言った。

「…マジ?勝手に断って良かったの?」

そんな重大なことを、とアリューシャ。

確かに、独断で決めるにはちょっと事案が大きかったかな。

「良いのよ。こういうことを見極める能力については、私よりルレイアの方が確かだもの。あなたがそういう判断を下したのなら、それが正しいわ」

「ありがとうございます」

理解ある上司というのは良いものだな。

オルタンスにも見習って欲しいところだ。

「箱庭帝国の革命軍…『青薔薇解放戦線』が提示した条件がこれです」

ルルシーが、ヴァルタに渡された書類をコピーして全員に配った。
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