The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「…分かった、ラシュナ」

気づけば、俺はそう答えていた。

彼女の正義と、そして熱意に押されたのだ。

「隊長殿…引き受けてくださるのですか?」

「少なくとも…俺の気持ちとしては、君達の思いに応えたいと思ってる」

正義を行うのが、帝国騎士団の役目。

それは、他国に対しても変わらない。

隣国の窮状を、冷たく無視することは道義に反する。

だから、もし協力してやれるものなら…協力してやりたい。

俺の持てる力の全てを以て…俺が為すことが出来なかった正義を貫いて欲しい。

でも。

「…俺の一存では決められないんだ。国と国とのことだから…。帝国騎士団の、他の隊長達にも相談して、それから決めなくては」

「…無論、協力して頂けるなら、相応のお礼をします」

「ありがとう。でも…他の隊長が何て言うか分からない。俺から話はしてみるが…」

…正直、望みは薄いと思う。

あの先輩達が…俺の言うことに賛成してくれるかどうか。

「話をして頂けるだけでも結構です。ありがとうございます…」

「…」

深々と頭を下げるラシュナ。

…明日にでも、臨時に召集をかけよう。

「…箱庭帝国の現状について、もう少し詳しく聞かせてくれないか」

「はい」

俺はあまりにも、かの国について知らな過ぎる。

先輩達への交渉材料を増やす為にも、俺は一晩かけてラシュナから、箱庭帝国の実情について聞くことにした。
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