The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
更に、問題は他にも。

「武器は金があれば調達出来るが…戦力の確保は難しいな」

「…そうですね」

こちらの方が、よっぽど深刻な問題だ。

『青薔薇解放戦線』は帝国騎士団から支援を受けているが、資金面の支援がメインで、戦力を貸してくれる訳ではない。

よって、箱庭帝国帝都に攻め入るなら、革命軍の戦力のみでやらなければならない。

自分達の国の革命なのだから、自分達でやるのが筋だということは分かっている。

でも…この人数で、しかも訓練を受けていない者達ばかりで、憲兵局とまともに戦えるかというと…不安が残る。

「『青薔薇連合会』が、協力してくれると有り難かったんですがね…」

無い物ねだりをしても、仕方がない。

俺は俺に配られた手札で、やるしかないのだ。

「俺が戦力を持っていれば良かったんだがな…」

フランベルジュ殿は、口惜しそうにそう言った。

とんでもない。

「この革命に賛同してくれたというだけで、あなたには充分世話になっています。これ以上は望み得ません」

フランベルジュ殿がいなかったら、そもそもこんなことは出来なかった。

ヴァルタとラシュナが、安全にルティス帝国に入り込めたのも…彼が協力してくれたお陰だ。

フューシャのときに、フランベルジュ殿と知り合っていれば…彼女も今頃、ここにいたのだろうに。

「あなたには、本当に感謝しています。フランベルジュ殿…」

「気にするな。俺は、俺が正義と信じることをしているだけだ。箱庭帝国のやり方は…あまりに酷い。他国のこととはいえ、放っておくことは出来ない」

なんと、崇高な人であろうか。

彼のような人こそ、英雄になり得るのだ。

フランベルジュ殿がいなければ、どうやっていたことか…。

俺は頭の奥で、フランベルジュ殿と初めて会ったときのことを思い出した。
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