レンアイゴッコ(仮)
恋愛をしている時の私は、つねに、窮屈なシャツのボタンを頑張って留めている感覚だった。

行儀良く、言葉を慎み、良い彼女でいなければと気を張っていた。だからどの服を着ても、どうにも自分のサイズじゃない気がして、それでも私にはこのサイズが正解なんだって、自分に落とし込むことしか出来なかった。

脱ぎ捨てると楽なのに、それでも、恋愛をやめたくなった。

「よくもまあ、毎回泣かされるのに次から次へと恋愛しようと思うよな」

もしも駄目だった時は、東雲がぜんぶ吐き出させてくれていたから、次に行こうって思えていた。

というかそもそも、東雲に全力で甘えられるのも失恋した時だけだから……?

叩けば叩くほど、私からは埃しか出てこないらしい。




飲み会も無事に終わり、二次会へと向かう二人と別れて帰路につく。その途中で、何を思ったのか、東雲へ電話を繋げた。

「何かあった?」

電話口の東雲は、声を聞かせたかと思えば心配する。私への評価がかなり低いらしい。

けれども思い返すと、毎回東雲はすぐに出てくれるなあって。私を丁寧に扱ってくれる、彼の存在のありがたみを再確認する。

「特に用事はないんだけどさ。東雲に、電話してみようかなって」

素直に話したかったと言えない、こういうところが可愛くない。
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