レンアイゴッコ(仮)
東雲はスマホを枕元に置く。

「あの二人、ていうか主に莇。喋り出すと止まらないタイプで、うるさくてごめんな」

私の髪の毛を撫でる東雲の言葉は申し訳なさそうだけど、表情は真逆で、柔らかなものだった。私が東雲の胸板で頬杖を作る。

「ううん、楽しかったよ。笑いすぎて、ほっぺた筋肉痛になりそう」

へらっと笑って見せると、東雲は私の頬をむにむにと摘んだ。

「マッサージ」

全然マッサージじゃないと思うので、私も東雲の頬を摘む。

「ふふ、しかえし」

筋肉質で、華奢で、骨ばった硬い身体の中で、頬が一番柔らかいと思う。お互い、お互いの頬をつまんでいると、東雲が顔を近づけた。拒む理由がなく受け入れる。軽く触れ合ったそのくちびるはすぐに離れた。

頬よりも、唇の方が柔らかい。

「連休があったら、旅行も行きたいな」

東雲の顔を包み込んだ。彼の手は私の髪の毛を耳にかけ、うなじ、それから背中を撫でた。

「どこにでも連れていくよ」

甘やかしてくれるらしい。

じゃあ、東雲が絶対に選ばない選択肢を取ろうなんて、天邪鬼な私は思いついた。

「ユニバ行きたい。お揃いの服着てインパ!うわあ、楽しそう」

「……」

ほらね、東雲の目から、やる気がすうっと消えた。楽しい。
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