レンアイゴッコ(仮)
いつまで火消ししなきゃいけないんだろうと思えば辟易するし、東雲がする気ないなら彼女の私がしなきゃなという使命感が私の中に混在している。

「顔、疲れてない?」

「超元気です」

「まあ良いけど、気にしちゃダメよ〜?」

気にしてくれた坂下先輩の元へ、つつつ〜……と椅子を移動させた。

「実は二人で旅行行くって話してるし、しっかり、楽しみもあるんですよね」

こっそりと耳打ちしては、ふにゃっと頬を緩ませる。

「旅行?良いじゃない。何処に?」

「候補は、この辺かなあと」

バッグに忍ばせている(ちゃっかり購入した)ガイドブックを広げると「電車?それとも車?車もってたっけ?」と坂下先輩が移動を心配するから「家に車置いてるみたいですよ」と、事実だけを落とした。坂下先輩の表情が固くなる。

「じゃあ、一緒に実家に行くの?」

想像しなかった“if”に、「……え?」と首を傾げた。

「ほら、東雲のことだから、なんで車使うのか家族に問われたら、彼女と旅行にって説明しそうでしょ?東雲一人、車だけ取りに行かせるのって、角が立つんじゃないの〜?東雲の両親が気にならない人ならいいけど、神経質な人かもしれないでしょ?第一印象は最初が肝心よ〜?」

「…………確かに…………」

さすが既婚者は説得力がある。東雲の移動疑惑、決算前の多忙に加えて、東雲の実家に挨拶問題もプラスされて頭を抱えた。
< 228 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop