レンアイゴッコ(仮)
「そういうの良いから。何したらいい?」
私とは違って、東雲は平常通り仕事の分配を促す。
「じゃあ……この辺任せていい?」
とは言え、東雲は打ち合わせ帰りだ。嬉しい反面早く休んで欲しいので単純作業をお願いした。すると、東雲は眉間に皺を寄せた。
「今妃立がしている方をもらう」
どうやら不服らしい。
「なんで?」
「明らかにイージーな仕事寄越すじゃん」
「……東雲はいつもそうね」
「いつもって?」
書類をパラパラと捲りながら、東雲は呟く。
「前、私が倒れちゃったから気にしてくれるんだろうけど、これくらい平気よ」
「ダメに決まってんだろ。妃立は、周りに優しく出来るけど、その中に自分を入れ忘れてるから平気で無茶するんだよ」
「そうかな?」
……そうかもしれない。
確かに昔からそうだ。普段から勉強はしていてもテスト前になると不安になり、寝なさいと言われても勉強を続けていた。マネージャーをしている時も、代わると言われても最後までしていたし、帰れと言われても残っていた。
そんな私を見透かすかのように、東雲は頬杖をついて、柔らかな笑みを私に向ける。
「だから俺が妃立柑花を大事にすんの」
見透かした上に、大事にされてしまっている。
今だけじゃない。多分、もう、ずっと前から。
「ほら、さっさと終わらせよ」
「……うん」
東雲が言う“努力の賜物”の恩恵ならば、彼なら任せられるって私が頼りにしているから相当だ。