レンアイゴッコ(仮)
二人で作業をしたので、予定よりも随分早く終わった。時間も時間だし、人気の少ないオフィスを二人で後にする。

「お腹空いたね」

「そうだな」

「何食べたい?」

「米」

「東雲、米派だよね」

そして米が似合うという利点もある。東雲が好きな物、タン塩、米、オムライス、お寿司のたまご。可愛い。

「妃立は?」

勝手ににこにことしていれば、東雲は私に質問を委ねた。

「温かいの」

米というざっくりとしたジャンルに負けないくらいの選択肢を与えると、

「おにぎりと豚汁」

なんて最高な組み合わせを東雲は告げる。

「最高じゃん」

「そうしよ」

今夜の晩御飯が決定した。
やっぱり、東雲と一緒だととても楽だ。それは私だけであって、東雲はどうだろう。

私を大事にしてくれると東雲は言った。私も東雲を大事にしたい。

生きづらくないかな。ちゃんと息が出来ているかな。無理していないかな。無理させていないかな。

でも一番は、私が感じている幸福を、東雲も感じてくれていれば嬉しい。


「東雲」

ぽつんと呟くと「うん」と、東雲はすぐに返事をした。

「私、東雲って苗字好きだな」

脈絡もないし、なぜ今こんなことを言ったのか私はほとんど覚えてない。言葉が吐き出されたいと願って勝手に出たのだ。

返事はあまり期待していなかった。


「じゃあ、なる?」


だから、東雲の返事に戸惑いが隠せなかった。
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