レンアイゴッコ(仮)
「これね、ジョブ・キングさんから昨日、追加で注文が入ったのよ」
坂下先輩がくれた情報に首を傾げた。なぜなら、私にはなんの報告もなかったからだ。
「妃立と二人で手分けして作業するように東雲に頼んだけれど、妃立には後で報告するんで自分がしますって、引き受けてくれたのよ」
「(……そうだったの?)」
先輩の目線の先へと視線を移した。遠い位置にいる東雲は顎に頬杖をつき、気持ちよさそうに欠伸を噛んでいた。
確かに昨日、昼休憩の時だろう。リップを塗り直していると『今日、気合い入ってますね』と東雲に言われてしまったから、彼氏と会うって宣言した。
──……だから、私には言わずに一人で終わらせたってわけ?
それにしたって、直後に会った訳だし、私が愚痴ばっかり吐いてたのが悪いんだけど、報告してくれても良かったのにさ。
「(変なところでカッコつけないでよね、ばか)」
「東雲って、分かりにくいわよね〜」
困ったように坂下先輩が笑うので「分かりにくいですよね!」と、同意すれば、彼女はやれやれと肩を上げるのだった。