レンアイゴッコ(仮)
手を出すとか、出さないとか。
東雲がいつも通りすぎて、普段と同じ接し方をした挙句、あっさり油断してしまった。
テレビの音だけが聞こえていた。MCの声よりも、自分の心臓の音の方がうるさく感じられる。
無機質な目が私を見据える。いちばん深い夜のような暗い色の瞳は感情を読み取れない。
「……なに、してんの」
警戒心むき出しで喉をひくつかせてながら言葉を紡ぐと、東雲はようやく口の端を持ち上げた。
「慣れてって言った」
「(言われた、けど)」
たしかに要求は認める。けれど、突然この空気を持ち込まれると、心臓へ過剰な負担が掛かって良くない。
「意味、あるの」
苦し紛れに抵抗する。東雲の低い声が心地よく鼓膜に馴染む。
「練習には意味があるんじゃないの」
「……練習って、なんの」
「妃立が俺とはじめる恋愛の練習」
躊躇わずに告げられた言葉に、心臓はキュンと音を鳴らした。
色素の薄い肌、スっと通った鼻筋。小さな顔に収められたパーツ、全部が整っているなとこんな時にも惚れ惚れしてしまう。
東雲がいつも通りすぎて、普段と同じ接し方をした挙句、あっさり油断してしまった。
テレビの音だけが聞こえていた。MCの声よりも、自分の心臓の音の方がうるさく感じられる。
無機質な目が私を見据える。いちばん深い夜のような暗い色の瞳は感情を読み取れない。
「……なに、してんの」
警戒心むき出しで喉をひくつかせてながら言葉を紡ぐと、東雲はようやく口の端を持ち上げた。
「慣れてって言った」
「(言われた、けど)」
たしかに要求は認める。けれど、突然この空気を持ち込まれると、心臓へ過剰な負担が掛かって良くない。
「意味、あるの」
苦し紛れに抵抗する。東雲の低い声が心地よく鼓膜に馴染む。
「練習には意味があるんじゃないの」
「……練習って、なんの」
「妃立が俺とはじめる恋愛の練習」
躊躇わずに告げられた言葉に、心臓はキュンと音を鳴らした。
色素の薄い肌、スっと通った鼻筋。小さな顔に収められたパーツ、全部が整っているなとこんな時にも惚れ惚れしてしまう。