レンアイゴッコ(仮)
そう言えば、自分一人で解決に務めることを重きに置いて、話していないことに今更気付く。

一応東雲は恋人だし、なにより当事者だ。

「今日は鍵を返してもらう日なの」

「…………は?」

「あの時の浮気相手……今は彼女かな?とりあえず女から連絡来たんだ。ちゃちゃっと貰ってくるね」

事実だけ掻い摘んで言えば、東雲は不服そうに顔を顰めた。

「なんで言わねえの」

私の想像と違った。

「え……そっちのが東雲の面倒事が減って、仕事の支障も減るじゃん」

言いながら、恣意的だなと呆れてしまう。

東雲に任せていれば、きっと穏便に取り返してくれる。

「(でも、それじゃ私がやだ……!)」

たとえ我儘でも、世間を斜め上から「だるー……」と片手に頬杖を着き眺めているように見えても、東雲は案外懐の深い男だって知ってしまった。

けれども、頑固で意地っ張りな女は、自らを生き辛くさせる天才なのだ。
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