レンアイゴッコ(仮)
分かっていても、一度だけ振り向いた。東雲の背中はまっすぐ正爾へ向かって歩いている。
あそこまで言ってくれたんだ。見るのは野暮な気がした。
東雲が居てくれて良かった……。
東雲の頼もしさに救われてばかりだ。
手の震えはいつの間にか収まっていた。強く握り締めていたせいか、じんじんと鈍く痺れている。
こんな状態で正爾から直接受け取るなんて出来なかったはずだ。公衆の面前で怒鳴り散らすか、泣き喚いてもおかしくない。今の世、その様子を動画にでも撮られて拡散されデジタルタトゥーを刻まれていたら私は終わりだって私は嫌でも知っている。
高校時代、付き合っていた人に最中の動画を撮られたことがある。若気の至り、好奇心、背徳感。
終わってすぐ、さっきの消してと言った。彼は頷いた。それだけで満足してしまった愚か者。
別れて私は馬鹿を見る。腹いせなのか、その動画はあっという間に学内に広まった。顔はギリギリ見えなかったけれど紛れもなく私の動画だった。その場で泣き叫びたかったし、恐怖で体が震えた。
悔しかった。けれど、卑怯な男に負けたくなかった。普通は凹むかもしれないけれど、ていうか相当凹んだしご飯も喉を通らなかったけど、私は無理して強がった。
『画面越しで見るしか出来なくなって、悔しいんだろうね』
誰かが代弁してくれて、思わず泣いた。
あそこまで言ってくれたんだ。見るのは野暮な気がした。
東雲が居てくれて良かった……。
東雲の頼もしさに救われてばかりだ。
手の震えはいつの間にか収まっていた。強く握り締めていたせいか、じんじんと鈍く痺れている。
こんな状態で正爾から直接受け取るなんて出来なかったはずだ。公衆の面前で怒鳴り散らすか、泣き喚いてもおかしくない。今の世、その様子を動画にでも撮られて拡散されデジタルタトゥーを刻まれていたら私は終わりだって私は嫌でも知っている。
高校時代、付き合っていた人に最中の動画を撮られたことがある。若気の至り、好奇心、背徳感。
終わってすぐ、さっきの消してと言った。彼は頷いた。それだけで満足してしまった愚か者。
別れて私は馬鹿を見る。腹いせなのか、その動画はあっという間に学内に広まった。顔はギリギリ見えなかったけれど紛れもなく私の動画だった。その場で泣き叫びたかったし、恐怖で体が震えた。
悔しかった。けれど、卑怯な男に負けたくなかった。普通は凹むかもしれないけれど、ていうか相当凹んだしご飯も喉を通らなかったけど、私は無理して強がった。
『画面越しで見るしか出来なくなって、悔しいんだろうね』
誰かが代弁してくれて、思わず泣いた。