レンアイゴッコ(仮)
東雲は丁寧な仕草でソファーに腰掛けた。華奢だけど大きな身体だと、一人がけのコンパクトなソファーも手狭に見える。

完成した料理はオムライスとサラダ、そしてクラムチャウダー。冷蔵庫から救出した野菜達をぜんぶ使ってやったし、オムライスなんて、贅沢に卵を一人三個分使用して、バターたっぷりで作った。おかげで、黄金色のオムレツはふわっふわのとろっとろで、多幸感で満たされた。

上手に出来た方を東雲用にして、木製のトレイに乗せて運ぶ。

「……え……本気で手作り?レンチンじゃなくて?」

するとなんだ。東雲は手作りを疑うじゃないか。

「あのねえ、ここまでとろとろのオムライスはいくら最新技術でもまだ未開発だと思うよ」

「まじか……ちょっとお前のこと舐めてたわ」

「見直した〜?」

「見直した」

素直な東雲は可愛い。

大袈裟かもしれないけれど、東雲は、美味しいと何度も口癖みたいに言いながら、まるで初めてオムライスを食べた人のように、本当に美味しそうに食べてくれた。

東雲はオムライスが好き。そんなメモを心の中に残す。

おかげで私の自己肯定感も爆上がりだ。凹んだ時には東雲へ手料理を振る舞うのも、自分のメンタルを維持する手段かもしれない。
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