Re:Love〜7年越しに愛されて〜
「凄いな双葉、想像以上で驚いた」
自分も声はかけたが彼女にとってはその他大勢と同じだったのだろう、似たような言葉を返されるだけだった。
それからはほぼ無意識に日菜子を目で追っていたと思う。
単純に彼女の滑りは未だ発展途上の自分には良い手本にもなったし、勇猛果敢にハイレベルなコースに挑み難なく滑る姿は見ていて爽快だった。
初めて自分の中の違和感に気付いたのは、日菜子が実は工学部で男ばかりに囲まれて日々を過ごしている事を知り、もやりとしたものを感じた時だった。
ただ遊びを楽しむ為のサークルだったので上級者コースを滑れるものは少なく、日菜子とはリフトで乗り合わせ話す機会も他より多かった。
その際なんの流れか趣味の話になり、日菜子が演劇が好きなのだと言い、それを話す時の顔が驚く程に可愛かった。
人見知りらしくいつもどこか硬い表情をしていた日菜子が何度か話をしてようやく見せてくれた屈託の無い笑顔は、容赦なく自分の胸を打ち抜いた。
それが例え自分に向けられた笑顔で無いと分かっていても、見ているだけで幸せな気持ちになれた。