イケメン友達ドクターによる真夜中の診察は
「わかってるよ、怖いんだよね」
 言われて、どきっとした。高校のときからの付き合いだから、私が苦手なものは彼も知っている。

「自然に好き同士になって、付き合って結婚したいって言ってたもんね。だけどそんなんじゃいつまでたっても出会いもその先もないよね」
「……のせいよ」
「ん?」
 私がぼそっと言った言葉を、彼は聞き返す。

「あなたのせいもあるのよ」
 私は恨みがましく彼を見る。
「俺のせい? どうして?」
 彼は余裕の笑みを崩さず聞き返してくる。

「イケメンで優秀で優しい医者が友達ってさ、男の基準が爆上がりすると思わない?」
「へえ、俺のことそう思ってくれてたんだ」
 彼はうれしそうに目を細めた。

「ああ、もう最悪。責任とってよ」
「とるよ」
 彼があまりにもさらっと言うから、私は目をぱちくりさせた。

「今、なんて?」
「責任とるって言ったの」
 私は目を丸くして彼を見る。
 責任とるって、まさか結婚するってこと? って、そんなわけないか。

「じゃあ、豪華ディナーでも奢ってもらおうかな」
 私がそう言うと、彼はまた笑う。
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