異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
「あの人達は、キララおねえしゃんを使って、わたしを始末しようとした。すっごく、悪い人達!」
「ああ。そうだな。悪い子には、お仕置きをしなければ……」
「うん! パパ。わたしの代わりに、めって、してくれる?」
「ああ。もちろんだ」

 ロルティはニコニコと笑顔を浮かべると、困惑した様子の神官達を見つめた。

 キララを失った彼らは、司祭の命令通りに彼女の命を奪うべきか、真の聖女と崇めるべきか迷っているからだろう。

「う……。閣下……。ロルティ様のことは、私にお任せください……」
「カイブル!」

 彼は近くにいた犬の身体を優しく撫でていたわってから、ジェナロへ告げた。

 父親の表情はかなり険しい。
 病み上がりに愛娘を任せて、本当に彼女を守れるかと不安でいっぱいなのだろう。

「もう、大丈夫なの? 平気? どこも痛くない?」
「ええ……。ロルティ様が私を、聖なる力で癒やしてくださったおかげです」
「よかったぁ……!」
「大事な時お力になれず、大変申し訳ございません」
「うんん! わたしはカイブルが生きてるだけで、すごく嬉しい!」

 ロルティの前では気丈に振る舞っているようだが、本調子ではないのは明らかだ。
< 109 / 192 >

この作品をシェア

pagetop