異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
 ジェナロはできれば彼に愛娘を預けたくはなかったが、彼女を抱きかかえたままロルティに仇する害虫共を駆除する姿を見せびらかすわけにはいかない。

 それは穢れなき天使には純白の翼をいつまでも背中から生やしていてほしいと願う、親心でもあった。

「カイブル。ロルティを頼む」
「承知いたしました」

 彼は熟考の末、渋々ロルティをカイブルに預けた。
 犬を従える大好きな人の腕の中に抱きしめられた愛娘は、ご機嫌な様子でブンブンと去りゆく父の背中に手を振り、激励を送る。

「わふっ」
「パパ~! 頑張って~!」
「任せろ」

 ジェナロが腰元につけた鞘から剣を抜いたのが、合図となった。
 カイブルはロルティの両耳を大きな手で塞ぐと、父親から背を向けて立ち上がる。
< 110 / 192 >

この作品をシェア

pagetop