異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
 口を挟みたくても挟めないまま、視線を落としてじっと耐える。

「――守れるのですか」
「父さんから直々に剣の指導を受けている。僕は強いんだ!」
「そうですか。同じ年頃の男子でしたら負けなしでしょうが、鍛え抜かれた騎士相手では、そうも行きません」
「馬鹿にするな……!」
「ロルティ様を失ってからでは、遅いのですよ」
「ぐ……っ」

 部屋の前に到着したジュロドは、痛いところを付かれて露骨に嫌そうな顔をした。

(このまま、仲直りができたらいいのになぁ……)

 ――ロルティの願いも虚しく。

 結局兄は手招きをして聖騎士の隣で大人しくしていた犬だけを室内に呼び込むと、カイブルにある許可を出すことで妥協した。

「へ、部屋の外にいるのは、許してやる」
「承知いたしました。何かあれば、お呼びください」
「あ、カイブル……」

 ロルティはすっかり、彼にネックレスを返すタイミングを失ってしまった。
 兄がカイブルを廊下に残して、パタリと扉を閉めてしまったからだ。

「わふっ!」
「む、むきゅう……?」

 部屋の隅で小さくなっていたアンゴラウサギが、突如現れた種族違いの仲間を不思議そうに見つめる。
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