異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
「カイブルは我が公爵家を、裏切ったわけではない」
「嘘だ……!」
「ロルティを神殿から救い出すためには、どうしても必要なことだった」
「あり得ない……!」
「俺が命じたんだ。父の言葉を、信じられないのか」

 冷たい声に反応したジュロドは、悔しそうに唇を噛み締めながら小さな声で告げる。

「僕は……ロルティの言葉しか信じない……」

 あれだけカイブルに対して酷い態度を取って来たのだ。
 今さら誤解だったと認めるのは、簡単なことではないのだろう。
 彼は複雑な自身の気持ちを消化する為、気持ちを吐露した。

「違うよね? あいつは、酷い奴なんだ。さよならも言わずに、ある日突然いなくなって……。ロルティと一緒に、何事もなかったかのように戻ってくるなんて……」

 ジュロドは彼なりに、カイブルのことが大好きで信頼していたのかもしれない。
 ロルティだって兄と同じ立場であれば、年月を重ねることによって悲しみが憎悪に変わっていただろう。

(おにいしゃまの言葉を、否定したくないけど……)

 間違いを正さなければ、いつまで経っても2人は仲違いをしたままだ。
 ロルティは勇気を出して、兄に優しく語りかけた。
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