異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
「怖くないよ。大丈夫。わたしがいるから……」
「もきゅ……きゅう……。きゅーう……!」

 アンゴラウサギはロルティが優しくブラッシングしたばかりの美しい純白の毛並みを撫でても、落ち着く様子を見せなかった。

(うさぎしゃん、どうしてこんなに、怯えているんだろう……?)

 2匹同時に扉を見つめて、鳴き声を上げたのも気がかりだ。

 ロルティは何かに怖がるアンゴラウサギを慰めながら、どうにか理由を探ろうと犬へと話しかける。

「わんちゃん。扉の外に、何かいるの?」
「わふ!」

 獣は彼女の問いかけに対して、自信満々に鳴き声を上げた。

 まるで「そうだよ」と言うような元気のいい返事を受け取ったロルティは、思い切って犬にあるお願いをする。

「案内してくれる?」
「わふーん!」

 元気よく頷いた獣を先頭に、ロルティは出入り口に向かって歩き出す。

 当然これにメイド達は慌てふためき彼女を止めるべきかと視線を彷徨わせているが、使用人達は原則として主の意志には逆らえない。

 彼女達は結局顔を見合わせるだけに留め、幼子が動物達とともに外出する姿を黙って見送った。
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