異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
「寝る子はよく育つって言うだろ。ロルティの成長を、妨げるの?」
「ジュロド……。俺だって、そんなことはしたくない」
「だったら……」
「お、おにいしゃま! わたし、元気!」

 兄が父親へ厳しい言葉を投げかけるのに耐えられなかったのだろう。

 引き攣った笑みを浮かべた彼女は、すっかり眠気など吹き飛んだとアピールするようにジュロドへと声を張り上げた。

「ロルティ、無理してない?」
「してないよ!」
「そっか……。なら、いいけど……」

 妹の言葉に思うところがあるのだろう。

 不満そうな声を出した彼は、父親がわざわざ昼寝をしていた兄妹の部屋に押し入ってまで伝えたい重要な内容を告げるように、視線で促した。

「俺がいいと言うまで、外に出るな」

 息子の許可を得たジェナロは、重苦しい声で愛娘に厳命する。

「どうして、お外に出ちゃいけないの?」

 父親から外出を禁じられたロルティは、納得できるはずもない。

 理由を説明してもらおうと瞳を潤ませジェナロに問いかけたが、彼はいつまでも言葉を紡ごうとしなかった。

(そんなに、言いづらいことなのかなぁ……?)

 ロルティに語りたくないのであれば、無理に聞き出すのは酷だろう。
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