異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
「ロルティ。行儀が悪いよ」
「えへへ。ごめんなさーい」

 妹の置かれている状況を知らない兄は、奇天烈なロルティの行動に苦言を呈した。
 彼女はすぐさま謝罪をすると、心の中で思案する。

(パパが部屋を出ないように命じたなら、1人になる機会は絶対にないってことだもん。毒殺しようとするなら、このタイミングしかないよね?)

 信頼のおける大人達はいなくなってしまったが、この部屋には兄と獣達が2匹いる。

(わたしは絶対、負けないんだから!)

 ロルティは気合を入れ直すと、メラメラと瞳の奥に闘志を燃やしながらその時を待った。

「父さんも酷いよね。理由を説明せず、部屋で大人しくしていろと命じるなんて……」
「パパはわたしのためを思って、おにいしゃまと一緒にいるようにって、言ってくれたんでしょ?」
「ロルティ……」
「だからわたしは、大丈夫だよ!」
「なんていい子なんだ……!」

 今の会話のどこに、感動するポイントがあったのだろうか。
 ジュロドは瞳を潤ませながら、妹を抱きしめた。

「おにいしゃま? 泣いてるの?」
「ぐす……っ。これは嬉し涙だよ。父さんからもういいって、言われたとしても。ずっと僕と、一緒にいようね」
「うん!」

 ロルティがよくわからぬままに頷けば、ついに重たい扉を押しのけティートローリーとともに待ち人がやってきた。
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