異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
「うーっ。わふ! わふん! わふーん!」

 ロルティが自身の食器をじっと見つめていたからだろうか。「それを口に含んではいけない」と警告するかのように、遠くから犬の鳴き声が聞こえる。

 獣から教えてもらわなくても、彼女は最初からそれを飲み干すつもりなどなかったのだが……。

「ロルティ。待って」
「おにいしゃま? どうしたの……?」
「やっぱりこの時間にティータイムなんて、おかしいよ」
「でも、せっかく用意してもらったのに……」
「安全が確認できるまでは、飲み食いしてはいけないよ」
「どうやって確かめるの?」
「メイドに毒味をさせるんだ」
「え……?」

 ジュロドは満面の笑みを貼り付け、ティートローリーを運んできた使用人を見上げた。

 まさか彼からそんなことを言われるなど思いもしなかったメイドは、ぽかんと口を開けて絶句している。

「君が持ってきたんだ。当然、問題がないことを証明できるよね?」
「そ、それ、は……」
「何? 安全が証明出来ないものを、ロルティの口に入れさせようとしているの?」
「ち、ちが……っ」
「狼狽えるあたり、怪しいなぁ……」

 ロルティがじっと黙っている間に、ジュロドはどんどんとメイドを追い詰めていく。
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